補助人工心臓と子育てとリモートワーク

補助人工心臓を植え込みつつ子育てしつつリモートワークをしているエンジニアのメモ帳

移植待機者として、移植医療ためにできることをしてみようと思う

今までわざと触れないようにしてきたが、私は心臓移植の移植待機者である。 今後、移植医療の啓発活動というものにちらほら関わっていく可能性がある。 ところで、移植待機者が、移植医療を啓発することがネガティブに感じる人もいるのではないかという話を聞いた。 そうなのであればコソコソやるほうがネガティブに感じさせてしまうのではないかと私は考えた。 ということで、私は移植待機者であるが、移植医療について調べて、感じたことを今後、述べていくことをここに表明することにした。

そもそも、補助人工心臓を装着している人のほとんどは移植待機者である。 わざと触れて来なかった理由は、あえて知る必要のない人が知る必要はないと思っていたからです。 できることなら知る必要のない人は知らないままで余計な心配をかけたくないという考えがあった。

ところが、移植医療について調べているうちに、実際に待機している人が生の声を上げずして、状況がより良くなるわけがないと思いはじめた。 もちろんネガティブに感じる人達がいるということは、声を上げることでより悪くなることもあるかもしれない。 だけど、私は率直な意見を述べることは世界をよりあるべき方向へ導くと信じている。 それで状況が悪くなるのであれば、それまでのことである。

ついでに、雑談。

私はどちらかというと移植をしてまで生きたいとは正直思わなかった。 生きるほうが戦いだと思ってる節もある。 最初に移植待機の話が出たときは、なぜ移植するのが前提で話が進んでいるんだろうと感じて、一旦止めてしまったぐらいだ。 ちょっと落ち着いたところで、自分だけの問題ではなく、家族のこれからを考えたら、移植以外の選択肢はなかった。 実際、移植登録をすることで、補助人工心臓を装着でき、退院することができ、子育てが手伝うことがここまでできるとは思っていなかった。 意外になんとかなる。もしかするとたまたまなんとかなっているだけかもしれない。 でも、少なくとも、移植待機を選択したことで、自分がやりたいことができている。 そして、戦うのはたいへんだけども、せっかく生きてるんだから戦うほうがずっと楽しい。

話は変わるが、日本の移植医療は移植待機者の増加数は、移植数より圧倒的に多い。 私より移植登録した人は、私より待機時間が長くなる可能性が高い。 絶望的だ。

後ろに続く人たちに希望はないのだろうか? 日本の推定脳死者数は、年間1万人ぐらいいるようだ。

日本で事故や病気で亡くなる方は毎年およそ110万人で、その1%弱の方が脳死になって亡くなると推定されています。

http://www.jotnw.or.jp/studying/4-2.html

100倍近くの伸びしろがある。 希望はあるのだ。

そのためにできることはなにがあるのだろうか。 日本臓器移植ネットワークのページの「あなたにできること」の先のページには、私たちにできることがかかれている。

  • 臓器提供意思表示
  • 寄付・賛助会

「そうじゃない」って言いたくなるが、もうちょっとよく考えてみよう。

実際に、臓器提供意思表示している人は2割り程度らしい。 もし10割になってもせいぜい5倍ぐらいしか数が伸びないようにみえる。 つまり、重要なのは沢山の人が移植医療を理解することで、移植医療のどこかに生じている問題が解消できるようになると予想できる。 だから、一人が意思表示することは、思っているより効果があるのかもしれない。 どんな問題があるのかは、わからないが、こういった記事もあった。

dot.asahi.com

脳死判定基準の厳しさだ。過去の“事件”に端を発しており、結果、日本の脳死判定は世界一厳しくなったという。

一応補足しておくが、心停止しておらず、脳死の可能性がある場合に、臓器提供の意思の確認があり、家族の動位が得られた場合、脳死判定が行われる。脳死判定がなくても、臓器移植可能な臓器もあるが、心停止すると移植できなくなる臓器もある。 詳細は、日本移植ネットワークのサイトでいろいろ知ることができる。

少し話がそれたけど、移植医療の啓発活動を手伝おうを思っても、現状はできることもあまり明示されていないし、どんな効果があるのかもわからない。国勢調査で測定はされているけど、5年に1回だ。そもそも移植医療の是非だって問われている。

本当にどうしたらいいかわからない。

そうだとしても、私は「臓器を提供する人」「臓器を提供する人の家族」「臓器を受け取る人」「臓器を受け取る人の家族」「臓器移植に関わる医療従事者」それぞれみんなにとって良い未来になる何かができたら良いな、と思っている。

もちろん、いつか譲り受ける臓器とそのドナーと医療費を支える社会に恩返しもしていきたい。